甲府市(読み)コウフシ

デジタル大辞泉 「甲府市」の意味・読み・例文・類語

こうふ‐し〔カフフ‐〕【甲府市】

甲府

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日本歴史地名大系 「甲府市」の解説

甲府市
こうふし

面積:一七一・八九平方キロ

県のほぼ中央に位置し、北は金峰きんぷ山から国師こくしヶ岳に延びる稜線を境に長野県南佐久みなみさく川上かわかみ村、東は東山梨郡牧丘まきおか町・春日居かすがい町、山梨市・東八代郡石和いさわ町、南は笛吹川を挟んで同郡中道なかみち町・豊富とよとみ村、西は北巨摩郡須玉すたま町、中巨摩郡敷島しきしま町・竜王りゆうおう町・昭和しようわ町・玉穂たまほ町と接する。市域北部は金峰山を主峰とする秩父ちちぶ山地の高山帯で、中央をあら川とその支流が南流し、中央部に至って野猿やえん谷・御岳昇仙みたけしようせん峡などのV字谷を形成する。南部には標高約三〇〇メートルの沖積地が広がり、甲府盆地の一角をなす。盆地縁辺部には荒川・あい川・北原きたはらの各扇状地が発達し、東・西部の低地も笛吹川・釜無川両扇状地の低平な扇端部に位置する。市街地の中心をJR中央本線が東西に走り、甲府駅からはJR身延線が東に分岐し、市街地を南西に向かって走る。市中心部から東に国道一四〇号・四一一号、南に三五八号、西に五二号が放射状に延び、市街地南方には国道二〇号が東西に走る。中央自動車道は市域の南・西端を通過し、市街地へのアクセスのため甲府南(中道町)・甲府昭和(昭和町)の両インターチェンジが設けられている。

〔原始〕

旧石器時代の遺跡は未確認であるが、昭和五九年(一九八四)相川河床からナウマンゾウ臼歯の化石が発見され、八万年以前の後期旧石器時代前半に人々が生活した可能性が指摘されている。縄文時代の遺跡は、北部山間地域から市中央部の複合沖積原低湿地にかけて散在的に分布する。とくに黒平くろべら・御岳・猪狩いかりなど荒川上流の奥深い山間地域では、遺跡は約八千五〇〇年前の早期から始まり、中期に極盛期を迎え、約四千年前の後期初頭を最後に消滅した状況が確認されている。いずれの遺跡も小規模で短期間に営まれており、居住本拠地から離れて一時的な採集・狩猟活動を行うための拠点と考えられている。低湿地の遺跡も中期に増加し、後期初頭から急激に減少するが、上石田かみいしだ遺跡では遺物散布地が広範囲に及び、時期的に連続した遺物が大量に発掘されたことから、生活の本拠地として定住生活が行われたことがわかる。この遺跡では漁網のおもりも出土し、河川での漁労活動が想定される。また後期中葉の上阿原かみあはら町の塚越つかこし遺跡は後背低地に立地しており、湿地を利用した生業活動の開始を示唆している。弥生時代の遺跡発見例は少なく、荒川などの自然堤防や氾濫原の微高地上に立地している。増坪ますつぼ遺跡からは炭化米が出土しているが、水田跡は発見されていない。


甲府市
こうふし

2006年3月1日:甲府市が東八代郡中道町、上九一色村の一部(梯・古関地区)を編入
【甲府市】山梨県
【中道町】山梨県:東八代郡
【上九一色村】山梨県:西八代郡

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「甲府市」の意味・わかりやすい解説

甲府〔市〕
こうふ

山梨県の中央部にある市。県庁所在地。市域は御坂山地の西部から奥秩父まで南北に細長く延び,北で長野県に接する。 1889年市制施行。 1937年から 1954年までに相川村,国母村など 17村を編入。 2006年中道町および上九一色村の北部を編入。市街地は相川の扇状地と釜無川荒川の沖積地にあって,甲府盆地のほぼ中央に位置する。早くから開け,青沼郷と呼ばれたが,永正 16 (1519) 年武田信虎が相川扇状地の扇頂にあたる躑躅ヶ崎に館を築き,甲府と名を改めた。文禄2 (1593) 年浅野長政・幸長父子が甲府城 (舞鶴城) の築営にあたった。江戸時代は一時期,柳沢吉保・吉里父子が封じられ城下町を整備したが,天領の時代が長く続いた。甲州街道の宿場町,市場町としても発展。養蚕地帯に囲まれ,昭和初期まで製糸業が盛んであったが,第2次世界大戦中から化学,精密機械,電機,繊維などの中小工場が立地。 1960年代から木工,鋳物などの中小工業団地が目立ち始め,南西に接する昭和町,中央市にかけて国母工業団地が形成された。金峰山で採掘される水晶の研磨は江戸時代末から盛んとなり,原石は枯渇したが多種類の宝石が輸入されて研磨加工が行なわれている。農村部は水田が多いが,近郊では野菜畑への転換が進んでいる。東部の旧甲運村地区はブドウの産地で,良質のワインが醸造される。小瀬 (こせ) に古くから伝わる天津司舞は国指定重要無形民俗文化財。市街から山麓部にかけては,湯村温泉積翠寺温泉,城跡の舞鶴城公園,武田神社の武田氏館跡 (国指定史跡) ,要害山 (国指定史跡) など名所旧跡に富む。善光寺の本堂および山門,東光寺仏殿,塩沢寺地蔵堂,旧睦沢学校校舎,穴切大神社は国の重要文化財に指定。また,荒川沿いの御岳昇仙峡は国の特別名勝に指定されており,県下有数の観光地。その北方に位置する燕岩岩脈は国の天然記念物の指定を受けている。南部の曾根丘陵には国指定史跡の銚子塚古墳丸山塚古墳などの遺跡が数多く分布し,一帯は県立公園として整備されている。北部は秩父多摩甲斐国立公園に属する。 JR中央本線,身延線,国道 20号線,52号線,140号線,358号線,411号線,中央自動車道が通る。面積 212.47km2。人口 18万9591(2020)。

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